生活道路・通学路の交通安全を目指して

顔写真

氏名
長谷川 裕修/ HASEGAWA Hironobu
E-mail
hasegawa@akita-nct.ac.jp
職名
准教授
学位
博士(工学)
所属学会・協会
土木学会,交通工学研究会,日本都市計画学会,日本交通学会,アジア交通学会
キーワード
交通安全,生活道路,通学路,交通安全教育,視線計測,VR,脳活動計測,慣性センサ,R
技術相談
提供可能技術
・交通安全教育教材の作成と評価
・視線計測データの収集と利活用
・アンケート調査(計画・設計・実施・集計・統計解析)
・データ解析環境Rを用いたデータ分析(仮説検定・多変量解析・データマイニング)と可視化

研究内容

慣性センサ・視線計測による通学路の歩行者行動分析

 通学路を移動中の児童・生徒・学生(以下,通学生と記す)の安全は,交通安全に関する最も重大な問題の1つです.2012年4月に京都府亀岡市で発生した登校中の児童らの列に自動車が突入する事故を始め,登下校中の児童等が死傷する事故が連続して発生したことを受けて通学路の緊急合同点検が実施され,その後も定期的な合同点検の実施・対策立案・対策実施・対策効果の把握・対策の改善からなる通学路安全確保のためのPDCA サイクルの推進が継続されています.しかし,これらの検討は主に学校やPTA,道路・交通管理者によるもので,実際に道路利用者が「どのような経路」を「どのように見て・行動しているか」という観点からの検討が不十分でした.

 以上の問題意識に基づき,スマートウォッチに登載されたGPSで測定した経路位置・歩行速度および眼鏡型デバイスに搭載された加速度・角速度センサで測定した頭部挙動によって通学路歩行時の「ただ歩いている」「注意しながら歩いている」「ただ止まっている」「注意しながら止まっている」という特徴的な歩行挙動を把握する技術を開発しました(図1).

 また別の研究では,通学路の安全性に関わる行動として注視行動(図2)に着目し,普通運転免許の有無と道路環境への慣れ不慣れが歩行者の注視行動に与える影響を検討して以下の2点を明らかにしました.1)「免許有り–慣れ」群は進行方向から反対方向までの広い範囲を平均的な時間で注視しており,他群よりも望ましい注視行動を取っている.2)注視行動の類似度を表現する指標のうち,全体的な注視の傾向を表すベクトル(形状),注視対象の探索が大域的か局所的かを表す長さ,情報を入手するのに要する時間を表す継続時間の3つの指標において,免許の有無と道路環境への慣れの有無の交互作用が有意な影響を与える(図3).

 本稿で紹介した研究以外にも,実写VRを活用した交通安全教材の開発と評価,生活道路無信号交差点部の安全性評価など地域や学生の交通安全に寄与することを目的とした研究に取り組んでいます.

提供可能な設備・機器

名称・型番(メーカー)
眼鏡型視線計測装置・Tobii Pro グラス2(Tobii) 視線計測データ解析ソフトウェア・Tobii Pro Lab(Tobii)
眼鏡型眼電位計測装置・JINS MEME(JINS) ガルバニック皮膚反応計測装置・Shimmer3 GSR+ Unit(Shimmer)
360度全天球動画撮影アクションカメラ・VIRB 360(Garmin) 360度カメラ用ジンバル・G360(Feiyu Tech)
視覚実験用顎台(あごのせ台)・TKD-UK1(Namoto) レーシングコックピットおよびテント等・RCZ01他(STRASSE)
VR用ヘッドマウントディスプレイ・Oculus Quest 2(Facebook) 脳活動計測装置・HOT-2000-VR(NeU)
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