建築・都市空間は様々な要素が複雑に絡み合い形作られています。人々は空間を体験することによって、様々な空間の雰囲気を感じます。それは快さであったり、あたたかさであったり、落ち着きであったり、引き込まれる感覚であったり、あるいは落ち着かない感覚であったりします。様々な要素が総合的に空間の性質を形成するのです。
複雑な空間をそのまま分析すると、読み取りが難解で答えに行き着くのが困難でしょう。そこで、定量的な分析を行い、複雑な空間を読み解いて行きます。具体的には、空間を構成する物理的な側面をエレメントに分解し、空間の作られ方を分析します。次に、空間から感じる人々の心理的な感覚を、様々な形容詞を用いて定量的に求めます。この分析により、それぞれ「物理量」と「心理量」が得られ、2つの量の相関関係を分析することにより、どんなエレメントがどのような心理に影響するのかが見て取れます。さらに踏み込んで分析すると、どのような空間をデザインすると、実際に体験した時にどのような感覚になるのかが、あらかじめ予測できるようになります。つまり、感覚的なデザインを、定量的に表すことが可能であり、客観的な指標として建築・都市空間を語る極めて有効な資料となります。このような手法を用いて、様々な空間を分析しています。
近年、秋田を対象にした研究としては「秋田の地区のイメージの研究」、「秋田の都市域の研究」、「秋田市中心市街地の街路空間の研究」、「秋田市中心市街地の図と地の研究」、「秋田竿燈祭りの準備空間における風景と音景の広がりの研究」などを行なっています。例えば、地区のイメージの研究では、実際の地区の住所と人々のイメージ上の地区の範囲を比較分析することで、秋田市のイメージ上の都市構造を明らかにしました。また、竿燈祭りの研究では、出竿全38町内の差し手の練習風景やお囃子の音色で満たされる都市の範囲を調査・分析し、可視化しました。これらの研究は、秋田市の都市構造を読み解く資料となり、魅力的なまちづくりや新たな観光資源について模索するものであります。
実践活動としては、新しい施設のあり様を示す建築・都市のデザイン提案や、行政や市民との協力のもと中心市街地のまちづくりを行なっています。「まち」はそこに住んでいる人々が共通の意識をもって育てていくべきものであります。人々の意識と研究活動やデザイン活動が結びつくよう、実際のまちの人々との活動を大切にします。豊かな「まち」は、住民・学・官・産が密に結びつき、高い意識の上で育まれます。豊かな秋田の空間を創造する、これからもその一端を担う活動を行います。
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