極低温流体中で発生する伝熱・流動現象

顔写真

氏名
野澤 正和/ NOZAWA Masakazu
E-mail
nozawa@akita-nct.ac.jp
職名
准教授
学位
博士(工学)
所属学会・協会
日本機械学会,日本伝熱学会,日本混相流学会,低温工学・超電導学会,低温生物工学会
キーワード
低温工学,超流動ヘリウム,極低温混相流,生体熱工学
技術相談
提供可能技術
・超流動ヘリウム中で発生する熱流動現象(膜沸騰)
・熱ストレス下における生体組織の損傷・死滅過程
・伝熱・流動現象の可視化観測技術

研究内容

極低温流体中で発生する伝熱・流動現象

極低温流体は,液体ヘリウム,液体水素,液体窒素などがあり,超電導,宇宙工学,エネルギ,医療,食品の分野において主に冷媒として利用されている.機器の小型化や性能向上に対して,それに用いる極低温流体をより効率的に利用すべく検討がされてきている.極低温流体中では,その極限の状態から,常温の流体では見られない特異な現象が発生する.特に,ヘリウムは液化温度が最も低い(大気圧下で4.2 K)元素であり,その状態図も非常に特徴あるものとなっている(図1).液体ヘリウムの特徴として,2つの液体相が存在することが挙げられる.温度の高い領域(> 2.17 K)の液体相は,通常の粘性流体の方程式で記述できる常流動ヘリウム(He I)であるのに対し,温度の低い領域の液体相は,超流動ヘリウム(He II)と呼ばれ,いくつかの特異な性質を持つ流体となる.

He IIの持つ性質として,サブミクロンオーダの狭隙も流動できるスーパーリークや優れた伝熱特性を持つ超熱伝導性が挙げられる.これらの性質を利用して加速器用の大型超電導磁石や衛星搭載用の赤外線観測機器の冷却に用いられてきた.しかし,これらの冷却に関しては経験的な側面が多く,熱負荷時のHe II中で発生する,膜沸騰現象(図2)をはじめとした熱流動現象は十分に明らかにされていない.

He IIをはじめとした極低温流体を効率的に利用するために,極低温環境下で発生する伝熱・流動現象を明らかにすることが必要となる.本研究では,冷媒としての極低温流体が熱負荷を受けた際の熱伝達特性と,それに伴う流体の挙動の関連性を明らかにすることを目的とし,極低温流体の新たな利用法についても検討していく.

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図1.ヘリウムの状態図

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図2.He II中の膜沸騰現象

提供可能な設備・機器

名称・型番(メーカー)
シュリーレン可視化装置(溝尻光学工業所) ハイスピードカメラ・FASTCAM SA-X2(フォトロン)
極低温環境用圧力センサ(PCB Piezotronics)