高効率有機合成反応の開発とその応用

顔写真

氏名
横山 保夫/ YOKOYAMA Yasuo
E-mail
yokoyama@akita-nct.ac.jp
職名
准教授
学位
博士(理学)
所属学会・協会
日本化学会,有機合成化学協会
キーワード
有機合成,希土類元素化合物,14族元素化合物,有機フッ素化合物
技術相談
提供可能技術
・有機化合物の効果的な合成法の立案及び,試験的合成
・核磁気共鳴スペクトル,GC-MSの測定及び,データ解析
・希土類元素化合物,14族元素化合物,有機フッ素化合物の取り扱い

研究内容

希土類元素化合物を用いた新規有機合成反応の開発とその応用

有用な有機化合物を効果的に合成することを目的とする有機合成の分野においては,還元を基本とする反応を用いる場合が非常に多い。例えば,官能基の変換や炭素-炭素結合形成は代表的なものであるが,そればかりでなく,炭素-ヘテロ原子結合形成,転位を伴う化合物の骨格変換あるいは,官能基の保護-脱保護等非常に多岐に亘っている。これらの反応は利便性が高いものが多く,医薬や農薬,機能性材料として用いられる様々な有機化合物の合成に広く用いられている。しかしながら,還元系反応のうち,最も頻繁に用いられていると考えられる,“還元剤を用いる手法”に関しては,生物毒性の高い金属元素含有化合物を使用する場合が多く,生成物中の痕跡量の金属化合物の残留による毒性の発現が特に医薬分野で懸念されるとされている。この点に鑑み私は,生物毒性がほとんど無いとされている,希土類元素化合物を用いる有機合成反応の開発を行っている。希土類元素化合物の利用は,有機合成の分野ではそれほどメジャーではない。これは希土類元素自体が,これまであまり有機合成の分野では顧みられなかったばかりでなく,その価格が比較的高いためであった。しかし現在,その価格はリーズナブルなものとなっており,積極的に利用することが十分に可能となっている。私が希土類元素化合物の中で特に注目しその利用法の開発を行っているのは,サマリウムの低原子価化合物である。このタイプの化合物として有名な有機合成試薬としては,ヨウ化サマリウム(II)が知られている。この化合物は様々な有機合成に用いられているが,還元力が低すぎるといった欠点を有するため,汎用性は今一つであることは否めない。そこでこの点を解決し,サマリウム化合物の都合の良い性能はそのままである物質として,臭化サマリウム(II)に注目し,これを用いた有機合成反応の開発を現在行っている。

 

yokoyama

私は、この臭化サマリウム(II)の特徴を生かした有機合成法として,以下の手法の開発に成功している。

1)シクロプロピル化反応 (殺虫剤などの農薬の合成に用いることができる)

2)特定の保護基の選択的脱保護化 (抗菌剤などの医薬,殺虫剤などの農薬の合成に用いることができる)

3)構造的に単純な含フッ素有機化合物をビルディングブロックとする有機フッ素化合物の効果的な合成法 (液晶材料などの機能性材料,抗がん剤などの医薬,殺虫剤などの農薬の合成に用いることができる)

提供可能な設備・機器

名称・型番(メーカー)
核磁気共鳴スペクトル測定装置(NMR) Avance III (Bruker-Biospin) 赤外吸収スペクトル測定装置(FT-IR) FT/IR-610 (JASCO)
ガスクロマトグラフ付質量分析計(GC-MS) PARVUM2 (Shimadzu) 分子モデリングソフトウェア SPARTAN’16 (Wavefunction Inc.)