日本における高齢者人口は増加しており,2017年度には総人口の28.7%が65歳以上となっている.加齢に伴い,筋肉の力が落ちる,内臓機能の低下など心身ともに虚弱状態になるフレイルの高齢者が増加する.日本の65歳以上全体の11.5%がフレイルであると言われており,フレイル患者は年齢が上がると共に有症率が上昇し健康余命も少なくなる(図1).フレイルになるといわゆるフレイルサイクルにより筋肉の減少に伴い筋力が低下し,バランス障害,歩行速度の減少が生じる.さらに,転倒から移動困難となり,障害を生じて,要介護となってしまう場合もある(図2).
本研究では,フレイル患者・フレイル予備軍の方の筋力低下を抑制するために,筋力を詳しく調べる.具体的には,コンピュータ内に数学的に人体モデルを構築した筋骨格モデル解析(図3)を行う.様々な姿勢,動作形態などを変更したときに,関節や筋肉に発生する筋張力の大きさを調べることで,適切なリハビリテーション,トレーニング効果などを提案できると考えている.
現在行っている運動は,(1)車いす取り付け型自転車(図3) (2)スポーツ自転車(3)ポールウォーキング(ポール:杖を併用した歩行,図4),(4)台車を押す動作(5)立ち上がり動作・着座動作 である.
名称・型番(メーカー) | |
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Vicon (3次元動作解析システム) | 床反力計(キスラー 9286) |