グローバル化に伴う英語の重要性が高まる一方、長年の間、日本の英語教育は問題視されてきた。 また、大学入試改革により教育現場では思考力・判断力を培うための授業が求められている。しかし、日本人英語学習者の文化的背景や国民性より、人前で話す苦手意識が高く、失敗を避ける傾向から、英語で話すことは特に困難で不安な気持ちを助長させ、学習者の英語の言語習得に大きく関係する。本研究では、プレゼンテーションを通して学習者の英語力及び思考力を向上させる実践事例を提示する。
【目的】本研究は、①学習者が積極的に授業に参加できる学習環境を整えること、②授業中に英語を話すことに対する生徒の不安を軽減することを大きな目的とし、プロジェクトベースの学習を通して英語でのグループプレゼンテーションを1年間計画的に構成して実践した。
【方法】学習環境に必要な条件
・授業導入に楽しめるスピーキング活動を行う
・プレゼンテーションの目標と評価基準を示し、学習者自身の目標を設定させる
・授業内/授業外に多くのインプットとアウトプットに触れさせる(発表に必要な情報や発表方法)
・学習者同士による助け合いの場、適切なフィードバックを行い、学習者自身に振り返る時間を設ける
【結果】
ペアワークやグループ活動を繰り返すことで、プラスの効果として①学習者の自主性(研究能力)の向上、②想像力•批判的思考力の向上、③学習者同士の協力や交流の増加、④発表反復によるスピーキング力の流暢さの向上、⑤学習者同士で発表のフィードバックを行うため、リスニング力も向上、⑥学習者自身の目標設定・自己評価により英語習得に対するモチベーションの増加が見られた。しかし、インターネット情報の依存、翻訳ツールの活用、盗用などのマイナスな効果も見られた。
【今後の展望】
4技能の英語力向上のためには、プレゼンテーションなど英語を話す機会を授業で行い評価していくことが重要である。しかし現状は、学習者の成績は単元テストや中間・期末考査のみでほとんど評価され、評価をするのが難しいスピーキング力や思考力は成績に含まれていない。そのため、英語のアウトプットを誰でも分かりやすく活用できる評価方法(ルーブリック)を今後は研究し開発する。
[共同研究者:ピーター・シンクル(札幌日本大学中学・高等学校)]
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