半導体薄膜やその微細加工技術の進歩により、数百nmから数nmの大きさ(いわゆるメゾスコピック・スケール)に複数の電子を閉じ込めたり束縛させたりするなどして、人工的に有限量子多体系を作り出すことが可能になってきています。私たちは、その中で現在まだ実現されてはいない、スーパーアトムと呼ばれる人工原子に注目し、平均場近似や密度汎関数法という方法を用いて、その一電子軌道エネルギーや電子密度分布などの電子構造を計算し、実現可能なスーパーアトムを模索するとともに、自然原子との比較により、クローン力で形成された有限量子多体系の新たな特徴が見いだせないか調べています。
*スーパーアトム(人工原子)とは、真性半導体の中にドープした違う種類の半導体の球状微粒子(コア)を注入した半導体ヘテロ結合構造体です。二つの半導体の電子親和力の差により、ドープ電子はコアの外側に移動しますが、コアとの間のクローン力によりコアの表面近傍に束縛されます。このような状態をスーパーアトムと呼びます。
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