澱粉は米の主成分であり、直鎖のアミロースと多分岐構造を持つアミロペクチンで構成されている。アミロースとアミロペクチンの割合やアミロペクチン構造の違いが米の食味・消化性・用途を左右する。米の澱粉構造がどのように制御されているのか、そのメカニズムを明らかにすることを目的として、秋田県立大学 植物生理研究室 藤田直子教授とともに澱粉生合成酵素が欠失したイネ変異体を用いて以下の研究を行っている。
アミロース含量が高く、アミロペクチンの分岐鎖が長い澱粉は、難消化性を示し、整腸作用・血糖値上昇抑制効果があるため、これらを多く含む米の作出が求められている。澱粉生合成に関わる複数の遺伝子の強弱有無や塩基多型によって、アミロース含量や難消化性澱粉含量を制御できることを見出した。戻し交配により開花時期・種子サイズ・収量などの農業形質を改善した系統は品種登録され、普及に向けて種籾の増産が進んでおり、米粉うどん・米粉パン・味噌・甘酒などの商品化も行われている。
一方で、アミロペクチンの分岐鎖が短い米は糊化しやすく、老化しにくいことが明らかになった。また、ウルチ米だけでなく、モチ米もアミロペクチン分岐鎖の長さによって、餅の粘弾性や食味を制御できることが明らかになりつつある。糯米の澱粉構造と物性の関係を明確にするとともに、製菓適性について明確にしようとしている。
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