ソフトマターにおける破壊・摩擦の解析
近年の燃料価格高騰に伴う輸送コストの増大は社会的な問題となっており,輸送機械の燃費向上は重要な課題といえます.燃費を向上するためには機械自体の軽量化や,摩擦によるエネルギーロスの削減を目指した研究・開発が欠かせません.当研究室ではこれらの開発目標に貢献するため,液晶や高分子などの“柔らかな物質(ソフトマター)”の機械への応用を目指した研究を進めます.
一例として,高分子からなる樹脂材料は軽量で高強度を実現できる素材として機械の軽量化を大きく進展させる可能性を持っています.その一方で,樹脂は温度などの使用環境に依存して脆性破壊から延性破壊まで様々な破壊の形態をとるため,大荷重を加えたときに安全性を保障することが困難です.
破壊や摩擦では,系のミクロな挙動が機械全体に影響を与えるため,材料の特性を分子レベルで議論することが不可欠です.当研究室では,これまでに液晶・高分子の研究で培ってきた分子ダイナミクスの解析と制御の技術を応用し,様々な機械システムで安全にソフトマター材料を使うための技術開発を行います.過去の観察例として液晶物質の顕微鏡像を図1に示します.分子の配向方向が画像の明暗として可視化されており,系のミクロな状態を知るための手がかりが得られます.
図1. 液晶の顕微鏡像.分子の向きによって明暗が分布.
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