液晶を用いた準光学的なミリ波制御デバイスに関する研究
液晶材料は低消費電力、軽量・小型、低コストなどの特徴から、主に液晶ディスプレイ等の可視光領域で応用されているが、ミリ波やマイクロ波のようないわゆる電波の周波数領域においても比較的大きな電気光学効果を有することが確認されており、この周波数領域における制御デバイスへの応用が試みられている。また、液晶は可視光領域と比較してミリ波領域における損失が小さいことから、数波長程度の比較的大きな実効長を有するデバイスに適用することが可能である。一般に、ミリ波領域は直進性が強く光学的な手法を適用することが可能であることは良く知られており、プリズムやレンズ等の準光学的なデバイスを構成できる。本研究ではネマティック液晶の電気光学効果をミリ波領域に適用し、準光学的なミリ波帯制御デバイスを開発することを目的として、ミリ波帯における積層型液晶レンズやフレネル型レンズ、フォトニック結晶、メタサーフェス等を提案する。
図1は積層型液晶プリズムの構造を示す。液晶分子を駆動するための電極を兼ねた金属基板と液晶層が交互に積層した構造となっている。この構造の液晶プリズムに電圧を印加することにより、3~4°程度の偏向角の変化が得られた。図2は、サブ波長オーダの格子周期を持つ積層型液晶レンズおよびフレネルゾーンプレート型液晶レンズのセル構造を示す。FDTD法によるシミュレーションにより、誘電体(液晶)の誘電率の変化によってミリ波の収束効果が得られたことから、各パラメータの最適化を行って素子の設計および試作を行っている。
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