もみ殻のリン吸着材としての有効利用

顔写真

氏名
ウィナルト クルニアワン / Winarto KURNIAWAN
E-mail
winarto@akita-nct.ac.jp
職名
准教授
学位
博士(工学)
所属学会・協会
化学工学会、石油学会、日本材料科学会
キーワード
化学工学、反応工学、触媒・吸着材、環境保全技術
技術相談
提供可能技術
・汚染物質の除去・回収
・化学反応のモデル化
・廃棄物の有効利用

研究内容

 もみ殻は農業廃棄物の一つであり,年間約1.2億トン排出されている.適切な処理を行わない限り,その大量のもみ殻ごみが深刻な問題を引き起こす.これまでにも様々な対策が提案されてきたが,土壌養分循環の観点から,もみ殻を土壌に還す対策が最も適切な方法と考えられる.従来もみ殻は灰にして肥料として利用されてきた.しかしながら,もみ殻灰の作成方法である野焼きでは,①粒子状物質(PM)排出による大気汚染が重大な環境・健康問題を引き起こすことに加えて,②もみ殻には肥料の三要素,特にリンの含有量が低いため,そのまま肥料として使用するのは効率的ではない.一方,リンは水環境において赤潮やアオコを引き起こす富栄養化物質のため,下水に流れていくリンを除去・回収してきた.回収したリンを肥料として利用すれば,リン資源の循環を達成できるが,肥料としての利用には課題はまだ残っている.まず,③回収したリンのコストが従来の化学肥料より高いことである.さらに,現在の回収プロセスでは,回収したリンはいずれも水に溶けにくい”ク溶性リン” (2%のクエン酸溶液に溶けるリン酸成分)であり,緩効性肥料に向いているが,稲のような一年生植物には肥効が速いことが重要であり,④水に溶けやすいリンが必要である.

 

 本研究では,以上述べたもみ殻の肥料としての利用問題および回収したリンの肥料としての利用課題の同時解決を目指す.方法として,もみ殻を用いてリン吸着材を合成し下水などに流れていくリンを回収し,吸着材とともに肥料として土壌に還すことである.特にリンの肥料としての利用課題を解決するには,リン選択性の高い物理吸着材が必要である.現段階では,その吸着材を開発するための合成条件について検討している.将来的には,回収したリンと吸着材の肥料としての性能の評価も行う予定である.

提供可能な設備・機器

名称・型番(メーカー)
-