大規模電磁界解析手法の高速化と高精度化

顔写真

氏名
野村 政宗/ NOMURA Masamune
E-mail
nomumasa@akita-nct.ac.jp
職名
助教
学位
博士(工学)
所属学会・協会
電子情報通信学会、日本シミュレーション学会
キーワード
計算科学、数値人体モデル、電磁界解析、並列計算、メッシュスムージング、線形代数ソルバ
技術相談
提供可能技術
・並列計算
・メッシュスムージング
・領域分割法
・ADVENTURE・UG4による大規模計算

研究内容

数値人体モデルを用いた静電界解析の高精度化と高速化の両立

電磁環境下に曝される人体内部の影響を調べるため、1辺2㎜のボクセルで人体を近似した数値人体モデルを用いて多くの研究が行われています。本数値人体モデルにおいて、皮膚や脂肪などの異材境界は、ボクセル近似のため本来曲面のものに対して、階段状に近似されます。数値人体モデルを用いた電磁界解析の際、この階段境界の角点で電界強度が過剰に評価される誤差が発生します(これを階段近似誤差と呼びます)。本研究ではこの階段近似誤差を解消するため、階段を滑らかにするメッシュスムージングを導入し、また、メッシュスムージングで増加する計算時間に対応するため、線形代数ソルバとして、混合要素に対応した幾何マルチグリッド法を開発します。

(Ⅰ)マーチングキューブ法とラプラシアンスムージングを用いたメッシュスムージング

本研究では、コンピュータグラフィックスの技術で用いられるマーチングキューブ法を応用し、階段境界の90°の角点を135°にスムージングします。また、マーチングキューブ法を適用した人体モデルの上から角点の節点移動によるスムージング手法であるラプラシアンスムージングを適用する2段階スムージングを行います。数値人体モデルの左足部分のスムージング結果を下図に示します。このようにスムージングを行うことで電磁界解析の高精度化を図ります。

(Ⅱ)スムージングモデルへの幾何マルチグリッド法の適用

 本研究では、メッシュスムージングによって増大する要素数に起因する計算時間の問題に対応するため、混合要素からなるメッシュスムージング人体モデルに幾何マルチグリッド法の適用を行います。以下に人体モデルにおける幾何マルチグリッド法適用結果を示します。下図の結果は、幾何マルチグリッド法とILUCG法の要素数ごとの計算時間を示しており、結果からILUCG法に比べて開発した幾何マルチグリッド法は、要素数ごとの計算時間増を抑えることができており、大規模問題への有効性を示すことが出来ました。また、幾何マルチグリッド法はILUCG法に比べて約1時間の高速化を達成できました。

このように、本研究では他の領域で有効である手法を数値計算の分野に取り入れたり、または、全く新しい手法を提案したりしながら電磁界解析の高精度化・高速化を図っていきます。

提供可能な設備・機器

名称・型番(メーカー)
-