機能的近赤外分光法における高精度な脳活動評価手法の提案
ヒトの脳や身体から計測される様々な生体信号には、医療や工学の分野で利用可能な有用な情報が多く含まれています。しかしながら、生体信号では目的とする信号が多大なノイズに埋もれていることが珍しくなく、そのような信号から精度良く目的の信号のみを推定する分析手法が必要不可欠です。私の研究では、計測した生体信号から有用な情報のみを抽出する分析手法の提案と、その情報を用いた医療・工学的応用を目的としています。
私はこれまで、特に機能的近赤外分光法 (fNIRS) と呼ばれる、脳内の血流信号を計測することで脳活動を評価可能な装置の分析手法について研究してきました。従来fNIRSでは脳血流以外にも頭皮での血流変化も計測してしまうために擬陽性の脳活動評価をしてしまうことが問題とされてきましたが、本研究では頭皮血流のみを追加計測することで通常の信号から頭皮血流の影響を除去する手法を提案しました。結果として、頭皮血流が大量に混入し脳活動部位の同定が困難な計測信号に対しても、提案手法を適用することで脳活動の機能的局在性が改善されました (下図)。
今後は、生体信号に関する研究も続けつつ、本研究で培った信号処理・機械学習技術を他分野の信号へも発展させていく予定です。
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