近年,多目的ホールやスポーツ施設など大スパン屋根を有する構造物が各地に建設されている。このような大スパン構造物は,軽量かつ剛性が低くなることから設計時には一般に風荷重が支配的となる。また、屋根が風によって変形や振動するため,風による直接的な力だけでなく,屋根の振動によって発生する付加的な空気力,すなわち「非定常空気力」が作用する。この非定常空気が屋根を空力的に安定化させる場合もあれば,逆に不安定化される場合もある。したがって,空力不安定振動の発生が懸念されている。その非定常空気力を定量的に把握できれば、屋根と風との相互作用を考慮した合理的な耐風設計が可能となる。
本研究では、大空間構造の基本形として二次元円弧屋根を対象とし, 境界層乱流中において逆対称1次モードで屋根を振動しているとき,屋根面に作用する非定常空気力の特性を風洞実験とCFD数値流体解析により把握し,空力剛性係数並びに空力減衰係数として評価した。次に、このようにして得られた空力剛性係数と空力減衰係数を、屋根に対して行われる通常の動的応答解析の中に組み入れる方法を提案した。
名称・型番(メーカー) | |
---|---|
- |