近代ドイツにおける農村地域政策

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氏名
長井栄二
E-mail
e-nagai@akita-nct.ac.jp
職名
准教授
学位
博士(文学)
所属学会・協会
史学会,社会経済史学会,西洋史研究会,東北史学会
キーワード
ヨーロッパ,ドイツ,地域問題,地域政策,地方財政,地方自治
技術相談
提供可能技術
・地域政策の日独比較
・地方制度の日独比較
・政策過程(立案・決定・施行プロセス)の日独比較

研究内容

 ドイツは、帝国創出(1871年)による市場統合の後、「大不況」(1873-96年)期における産業構造の急旋回を経て、「農業国」から「工業国」へと移行した。同時に、内外市場構造の激変は、ドイツ諸地域間に新たな構造格差問題を産み落とした。とりわけ農工間の発展較差は、農村部から都市部への未曾有の国内移住現象を引き起こし、ドイツ東北部の穀物単作地方(いわゆる「東エルベ」地方)は激しい人口流出に見舞われた。ドイツでは、こうした近代化過程における「離村」問題、また近現代的な意味での「地域問題」、過疎化やコミュニティー崩壊の危機に対して、いかなる政策対応がなされてきたのか。本研究は、この問題を農政や地方行財政、通商政策や欧州統合といった大きな政策体系の枠組みの中に位置づけ直すことによって、ドイツ・ヨーロッパにおける地域主義や連邦主義の伝統と特質、とりわけそれらの現代的な意義を捉えるものである。研究はまた、現代ヨーロッパ・ドイツの地域政策の源流を捉えるものであり、その比較史的視点から、近・現代日本の地域問題やそれへの政策対応の特質を浮き彫りにし、今後の日本の地域政策やまちづくり・村づくりに、一定の展望を与えることができると考えている。
 農業の近代化に伴い、地域の盛衰は、そこに資本、すなわち現金と信用を確保できるか否かに大きく依存するようになる。本研究による大不況期における農業債務問題に関する基礎分析によると、大不況期から第一次大戦前夜にかけ、ドイツ東西間には、農業者の主要な資金調達手段、販売と信用の面において、およそ10年ものタイム・ラグに相当する条件格差があった。そこで、大不況期のプロイセン邦で実施された新たな農業・土地政策(いわゆる「内地植民」政策)の立案・決定・施行過程を追跡すると、この政策は、社会政策学会および農業省・農業審議会が東部の農村地域問題、とりわけ二つのファイナンス問題(地域金融・地方財政の条件格差)に起因する地域格差を新たな社会問題として認識し、それへの政策対応として立案・施行されたものであることが明らかとなった。
 その政策立案過程において、政策主体や主要な政策ブレーンは、イギリス型の大規模借地農経営の「規模の合理性」論を相対化しつつ、ドイツに広く存在していた中規模農民に、農村の荒廃を防ぐ地域定住者=「地域維持の担い手」としての特別の社会的意義をいち早く認めた。大不況期以降のドイツ、プロイセン邦では、こうした政策基調の下、農民層の維持・創出と、この層を主たる担い手とする農村基礎自治体の強化をはかるために、農地相続法制・農村地域金融インフラの整備、農民層・農村自治体の創出(内地植民立法)、地域間の水平的な行財政負担調整=広域連合設立の促進(農村自治体法制改革)、邦国税の地方への移譲(税財政改革)などが体系的に実施されていった。これに対し、国家の(半)強制的手段による基礎自治体の合併や、「上から」の性急な官僚主義的干渉は、農村住民の自治の現実を掘り崩し、「国家の土台」をむしろ弱体化させるものとして忌避されたのである。

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