エネルギー粒子線照射による物質特性改質効果の理論

顔写真

氏名
金田保則
E-mail
kaneta@akita-nct.ac.jp
職名
教授
学位
博士(理学)
所属学会・協会
日本物理学会、日本原子力学会
キーワード
物性理論
技術相談
提供可能技術
・物質の電子構造・磁性
・エネルギーバンド理論
・多体問題
・格子欠陥や不純物を内包した系の電子状態

研究内容

 高エネルギーイオンビーム照射が固体物性に及ぼす効果、とりわけ磁性体の特性変化に関しては、磁気保持力の低下などの照射によるダメージ・劣化を議論したものが多い。一般的に、材料に対するイオン照射では、時間・空間において確率論的な物質への作用が働いているとの考えがあり、この確率論から来る曖昧さ・不確定性が、物質の構造・特性変化に対する理解を曖昧なものにし、照射された材料全体の平均的な特性が低下することのみを見ることにより、イオンビーム照射は劣化・特性低下を与えるだけという、ネガティブなイメージが持たれている。

 実際に、イオン照射により原子配置の乱れが生じるが、そこに生じている乱れは熱力学的準安定状態に相当し、基本的な点欠陥(原子空孔や格子間原子など)やその複合体・集合体として乱れを理解することは可能である。電子顕微鏡を用いた、実空間での原子配置・転位の観察はもちろんのこと、純銅内の欠陥構造を熱的アニールによる電気抵抗の変化を通して欠陥構造の回復過程として理解した例などは有名である。また、アルカリハライド結晶中の色中心は、可視領域の波長の光を吸収する格子欠陥であるが、これに対する電子論的な理解、すなわち欠陥は電子・ホールの捕獲中心となり、この中心での電子の束縛励起状態が関与して特徴的な光の吸収が起こる、という基本的な理解も行われている。一方、磁性と欠陥の関わりについては、非磁性金属中における磁性不純物の効果、いわゆる近藤効果が一つの有名な例としてあげられるが、磁性体に対する照射効果は先にあげたような特性劣化が、残念ながら主だった例でしかない。

 本研究ではFeRhへの照射による磁気特性変化をとりあげ、これに関する理論的な解析、照射により形成される欠陥構造として、FeおよびRh原子のサイト交換を、第一段階としての欠陥構造モデルとして取り上げ、理論的解析を行った。欠陥構造に由来する電子状態の変化を第一原理的な計算で求め、強磁性相と反強磁性相、各相の磁気的エネルギーの比較や、欠陥付近の各原子に付随した磁気モーメントの分布状況を、規則系のものと比較する。これにより、照射による磁気特性変化についての電子論的な描像を得ようとするものである。

計算結果を詳細に解析したところ、次の様な結果が得られた。サイト交換型欠陥の周囲では、短距離のFeペアが存在するため、局所的には強磁性的スピン配置が安定化しやすい。しかし欠陥濃度が低い間は、強磁性的長距離秩序を形成する前にFeペアの一方の磁気モーメントを抑制するように電子系の再配置・緩和が起こり、大局的なAF構造がそのまま保持される。欠陥濃度の増加とともに、電子系の再配置に必要なエネルギー密度も増加し、ある欠陥濃度に達するとF相が安定となる、というのがF相安定化のメカニズムである。

ここでは、FeRhの磁性が欠陥の存在によってどう変わるかの一例を見た。照射による磁気特性の変化は、これ以外にも非磁性のCeO2で顕著にみられている。今後、磁気特性と欠陥構造との間の関係を明らかにしながら、新たな物質開発・特性改質の研究を進める予定である。

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