レーザーアブレーション法を用いたマルチアルカリ光陰極の開発
ILCやXFEL,ERLなどの次世代線形加速器の電子源である光陰極高周波電子銃の陰極材料には,図1に示すように高量子効率かつ高耐久性が必須の条件である.近年陰極材料として注目されているマルチアルカリ化合物は,約10%という高量子効率を実現する新材料と期待されているが,生成方法の技術的な手法が確立されていない.さらには,光電子発生や経時劣化機構も解明されていない.そのため安定的な高量子効率・高耐久の光陰極生成までには至っていない.
当研究室のこれまでの研究により開発した流体シミュレーションコードにより,レーザーアブレーション法によるマルチアルカリ化合物の成膜が可能なことを示した。今後は、実験的アプローチにより高輝度・高品質電子ビーム源の開発を実現させる。特に,量子効率が最も高いと期待されるマルチアルカリ化合物であるCs,K,Sb化合物に着目し,レーザーアブレーション法を応用したマルチアルカリ化合物生成と光陰極としての特性評価が可能な製造・評価システムを構築し,光陰極としての特性を解明する.これにより高量子効率・高耐久光陰極の実現につなげる.
名称・型番(メーカー) | |
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二次元有限用方法電磁場解析コード(自作) | YAGレーザー(1064nm,532nm,266nm) |
オシロスコープ | 光電子増倍管 |
高感度CCDカメラ | サーモカメラ |
レーザー温度計 |